社内マニュアルは、業務手順や規定、システムの操作方法などを整理して共有するために欠かせない存在です。正確な情報がそろったマニュアルがあれば、業務の標準化や新人教育のスピードアップが期待できます。さらに、誤操作を防いだり、業務ノウハウの継承がスムーズに行われたりする効果もあります。
Microsoft 365(旧称Office 365)は、多くの企業で日常的に利用されているツール群です。WordやPowerPointなどのアプリケーションに加えて、SharePointやTeamsといった共同編集・コミュニケーション機能もセットで提供されています。すでに社内で導入されている場合が多いため、追加費用を抑えながらマニュアルを整備したいときに検討しやすい基盤といえます。
WordやPowerPointを普段から使い慣れている方が多いので、新たにソフトウェアを導入して学習する手間が軽減されます。すでにライセンスを持っている場合、追加費用がかからない点も大きな利点です。
クラウド上にファイルを保存すると、複数の担当者が同時にマニュアルの更新作業を行えるようになります。SharePointやOneDriveを使えば、自動でバージョンが記録されるため、古い情報に戻したいときも簡単に対応できます。Teamsのチャット機能やチャンネルで更新内容を話し合うことも可能なので、コミュニケーション面でも便利です。
SharePointサイトをマニュアル用のポータルとして活用すると、様々な部署の手順書やガイドラインを一箇所にまとめられます。アクセス権限の管理も柔軟に設定でき、社員が必要な資料を探しやすい環境を作りやすくなります。
複数のファイル形式やフォルダに情報が分散すると、SharePointの標準検索だけでは目的のマニュアルが探しにくくなりがちです。WordやPowerPoint、PDFなどが混在すると、ファイル名や置き場所に依存することが多く、内容を横断的に検索しづらい場面も出てきます。
WordやPowerPointは自由度が高い反面、作成担当者によってデザインや構成がまちまちになりがちです。統一されたテンプレートを使わないと、同じ会社のマニュアルでも書式や見た目が大きく異なり、利用者が混乱しやすくなります。
マニュアルに特化したツールであれば、承認ワークフローや高度な検索システム、クイズ機能などが最初から備わっているケースがあります。office365では汎用ツールを組み合わせてカバーする必要があり、その分だけ運用ルールの設定や管理工数が増えやすくなります。
まず「どんな業務手順や情報を、誰が活用するためのマニュアルなのか」をはっきりさせます。新人研修用か、全社員向けかによって内容の詳細度や専門用語のレベルが変わるため、初めにゴールを設定すると作業が進めやすくなります。
関連部署や担当者から必要な情報をヒアリングし、古い資料を参考にしながら内容を整理します。そのうえで、大見出し・中見出しを設定し、マニュアルの骨組み(目次)を先に作成します。
テキストベースが多いならWord、画像やステップごとの解説が多いならPowerPointをメインに使います。Webで直接見せたい場合は、SharePointページを活用したり、Swayでインタラクティブなコンテンツを作るとよいです。内容に合わせてツールを選び、統一されたテンプレートを利用します。
決めたツールで文章や画像、図表を作成します。Wordなら見出しスタイルや自動目次、PowerPointならスライドマスターを使うと、体裁やレイアウトが揃いやすいです。高解像度の画像を入れすぎるとファイルサイズが肥大化するので、圧縮やサイズ調整も行います。
ドラフト版ができたら関係者にチェックを依頼し、コメントをもとに修正します。最終的にSharePointライブラリへアップロードしたり、Teamsからリンクを案内したりして、社員がどこからでも最新情報にアクセスできるようにしておくと便利です。
マニュアルには定期的な見直しが必要です。更新手順や担当者を決めておき、プロセスの変更やシステム導入などがあったタイミングで内容を修正し、古いバージョンは混乱を生まないようアーカイブ化します。バージョン履歴や更新履歴を残しておくと、変更内容の追跡がしやすくなります。
WordやPowerPointでマニュアルを作成するときは、あらかじめ全社共通のテンプレートを用意しておくと便利です。ページレイアウトやフォント、色使いがそろうだけで、読み手にとってわかりやすい資料になります。
専門用語が多いと、新人や他部署の人には理解しづらくなる可能性があります。できるだけやさしい言葉を使い、長文を避けることが大切です。図や画像は「ここが重要」というポイントを示すように注釈を入れるとさらにわかりやすくなります。
SharePointサイトやOneDriveを使う場合、権限設定を誤ると見てほしくない人にファイルが見えてしまうこともあります。逆に、必要な人に権限が付与されていないと、情報にたどり着けません。部署や役職ごとに閲覧・編集の範囲を整理し、社内教育を行うとよいでしょう。
マニュアル利用者が疑問点を気軽に伝えられる窓口を用意すると、内容の改善につながります。Teamsの専用チャンネルや連絡先の明記など、問い合わせのルートを明確にするのがおすすめです。
office365のツールを活用するだけでは、以下のような問題が深刻化する場合があります。
こうした状況に直面したら、マニュアル作成ツールを導入することを検討するのがおすすめです。専用ツールであれば、閲覧状況を分析できたり、承認フローやクイズ機能が充実していたりと、マニュアル管理を効率化する仕組みがそろっています。office365はコミュニケーションや他の業務での連携に使いつつ、マニュアル部分は特化型ツールを利用する「ハイブリッド運用」も考えてみるとよいでしょう。
専用ツールを導入する場合は、費用と運用メリットのバランスを見極めながら、実際に扱いやすいかどうかを小規模で試してから全社導入するのが安心です。必要とされる機能や社内リソースに合わせて検討することで、マニュアル運用をさらにスムーズに進められるようになります。
マニュアル関連でありがちな課題に沿って、目的別におすすめのマニュアル作成ツールをまとめました。ツール選定で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
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