マニュアル作成時に気を付けたい言葉遣い

なぜマニュアルの「言葉遣い」が大切なの? 読みやすさが成果を左右する

読み手の理解度を左右する!言葉遣いのインパクト

マニュアルは社内外を問わず、多くの人が同じ作業を行うための手順書として使われます。しかし、せっかく丁寧に作成したつもりでも、「言葉遣い」が曖昧だったり、分かりにくい専門用語を多用してしまうと、読み手の理解度が大きく下がってしまいます。理解できない表現があるだけで、「このマニュアル、分かりにくいな……」という印象を与え、マニュアルの信頼性そのものが損なわれる可能性もあります。

特に、作業手順を正確に理解してもらう必要がある場合や、製品・サービスの使用方法を伝える場合、ちょっとした言葉の使い方の違いが大きな問題を引き起こすことがあります。たとえば、「◯◯を押してください」の一文にしても、「どのタイミングで」「どんな状態で」押すのかがはっきりしなければ、誤解やミスの原因になりかねません。だからこそ、言葉遣いに配慮したマニュアル作成が必要なのです

ミスや問い合わせを減らす、正確な表現の価値

言葉遣いを誤ると、読者の「理解度が低下する」だけでなく、「行動のミス」や「問い合わせの増加」を招きます。

つまり、言葉遣いを正確に整えることは、「誤解を減らす」だけでなく「作業やサポートの効率化」にも直接つながるのです

迷わなくなる!分かりやすいマニュアル言葉遣いの基本ルール7つ

1. 【簡潔に】短い文で主旨をハッキリ伝える

文章が長いと、読む側に大きな負担がかかります。一文がダラダラと続くと、どこが要点なのか分かりにくくなるため、できるだけ短い文で伝えることが基本です。

短文で段階的に区切ることで、読む人は必要な手順を一つひとつ確実に理解できます

2. 【具体的に】専門用語・社内用語の扱い方を工夫する

マニュアルには、どうしても専門用語や社内用語が登場しがちです。しかし、それが「読み手にとって常識」とは限りません。

「社内だけで通用する略称」や「独自の呼び名」があるときは、最初にきちんと定義を書いておくと、混乱や誤解を防げます

3. 【肯定的に】「〜できる」表現で伝わりやすく

マニュアルでは、読者が「作業をスムーズに進められる」ような書き方を心がけると良いでしょう。否定的な表現や「~してはいけません」という注意書きばかりだと、読む側は萎縮してしまうことがあります。

もちろん、禁止事項や危険行為については注意喚起が必要ですが、基本は読者が前向きに行動できるような書き方を意識してください

4. 【能動態で書く】「誰が」「何をする」を明確に

マニュアルを書くときは、「~される」「~が行われる」といった受動態ではなく、「~を行う」「~を設定する」といった能動態の文章を使うことをおすすめします。

誰が、何をするのかをはっきり書くことで、読者が「自分がこれをすればいいのだ」と理解しやすくなります

5. 【文体の統一】「です・ます調」と「だ・である調」を混在させない

文章を「です・ます調」で書くか「だ・である調」で書くかは好みや社内ルールによりますが、いずれにせよ「統一」することが大切です。一つのマニュアルの中で、「です・ます調」と「だ・である調」が混在すると、読みにくく感じるだけでなく、企業や組織の文書としての統一感も失われます。

6. 【指示語に注意】「これ」「それ」は具体的に書き直す

「これを押してください」「それを設定してください」といった指示語だけでは、どのボタンやどの項目なのかが分からないケースがあります。画面上に複数の候補がある場合、読み手は「どれのこと?」と戸惑ってしまうでしょう。

たとえば「これ」という表現は「メール送信ボタン」と明示的に書き換える、あるいは「◯◯ボタン(赤色のアイコン)をクリック」などと補足を入れると、誤解が起きにくくなります

7. 【曖昧表現を避ける】多義的な言葉を使わない

「適当に」「いい感じで」「ある程度」といった表現は、人によって受け取り方が大きく異なります。マニュアルの大きな目的である「誰が読んでも同じ行動をとれる」状態を損なうため、できるだけ具体的な数字や作業内容に置き換えましょう

使っていない?マニュアルで避けたいNG言葉遣い

1. 流行り言葉・若者言葉・カジュアルすぎる表現

「バズる」「ガチ」「イケてる」など、日常会話で耳にすることがあっても、マニュアルには不適切な場合がほとんどです。流行り言葉は世代を超えて通用しないケースも多く、時期が経つと意味が通じなくなるリスクがあります。書き言葉としては避け、落ち着いた言い回しを選びましょう

2. 二重否定や複雑な言い回し

「〜しないわけではない」「〜せざるを得ない」など、二重否定が続く文章は読みにくく混乱を招きます。マニュアルは読み手に作業を促す文書ですから、できるだけ平易な表現にしましょう

3. 意味がはっきりしない曖昧な言葉(例:「適当に」「いい感じで」など)

先述のとおり、「適当に」「いい感じで」などの曖昧表現は個人の解釈に大きく依存します。結果的に作業手順がブレてしまう可能性が高いので、どんな状況でも同じ行動がとれるよう、具体的な表現に置き換えましょう

4. 業界・社内特有の略語の乱用

略語を使うと文章量が減るメリットもありますが、読み手全員がその略語を把握しているかどうかは別問題です。説明なしに略語を使うと、初心者や他部署の人はすぐにつまずきます。どうしても必要な略語があるなら、最初に必ず定義を示すか、補足を入れましょう

5. 高圧的、命令口調に聞こえる表現

「やりなさい」「従うこと」など、きつい印象を与える命令口調は不快感や抵抗感を与えがちです。マニュアルの文章は基本的に「〜してください」「〜しましょう」のような、読み手が自然に行動を起こしやすい表現を選ぶとスムーズです

誰に届ける?ターゲット別 言葉遣い調整テクニック

初心者向け:専門用語を避け、丁寧な解説を心がける

初心者向けのマニュアルでは、「そもそもこの製品やサービスの基本知識がない人」を前提に書く必要があります

これらの工夫で、初心者の「分からない」というストレスを軽減できます。

中級〜上級者向け:必要な専門用語は適切に使い、簡潔にまとめる

ある程度知識を持っている読者向けには、むしろ簡潔な表現でスピード感を重視する方が好まれます

中級以上のユーザーは「このマニュアル、説明が回りくどいな」と感じやすいので、簡潔さがポイントです。

常に意識したいのは「誰のためのマニュアルか」

初心者か上級者か、社内か社外か、既存ユーザーか新規ユーザーか……マニュアルの内容や言葉遣いは「読み手によって最適化する」必要があります。マニュアルを作成する際は、まず「この文書を必要とする人は誰なのか」を考え、それに合わせて言葉遣いを調整しましょう。

マニュアルの質を底上げ!言葉遣いをチェックする方法

セルフチェック:音読や時間を置いた見直し

自分で書いた文章は、慣れや思い込みで誤りを見落としがちです。以下の方法を試してみると、意外な改善点に気づけます。

これだけでも、「ここ、分かりにくいかもしれない」「二重否定になっている」といった点に気づくことがあります。

複数人レビュー:他者の客観的な視点を取り入れる

一人で書いた文章は、どうしても書き手の視点に偏りがちです。そこで、他のメンバーや対象に近い人(初心者など)に読んでもらい、「分かりにくいところはないか?」と率直な意見を聞くのがおすすめです。可能であれば、マニュアルを実際に使ってもらい、手順どおりに行動できるかテストしてもらうとさらに効果的です。

まとめ:正しい言葉遣いで、誰にでも伝わるマニュアルを目指そう

マニュアルは、その企業や組織の知識やノウハウが詰まった、いわば「知的資産」です。しかし、言葉遣いが曖昧だったり統一感がなかったりすると、読者に正しく情報が伝わらず、せっかくの資産を十分に活用できません。

これらを実現する上で、言葉遣いは極めて重要な役割を果たします。本記事で紹介した基本ルールとNG例を踏まえて、まずは自分のマニュアルを見直してみましょう。短文化と具体性を意識し、指示語を減らし、肯定的で分かりやすい表現に整えるだけでも、読み手の印象は大きく変わります。

また、マニュアルの完成後も、定期的なアップデートやレビューを行いましょう。製品やサービスが変われば説明も変わりますし、ターゲットユーザーの変化に合わせた修正も必要です。「マニュアルは完成したら終わり」ではなく、「誰に読まれても正しく情報が伝わるように最新化し続ける」という意識を持つことが、質の高いマニュアル作りの秘訣です。

正しい言葉遣いでまとめられたマニュアルは、読み手に自信と安心感を与え、作業の効率化や企業イメージの向上にもつながります。今日からぜひ、言葉遣いにこだわったマニュアル作りを実践してみてください。

【目的別】
マニュアル作成ツール
おすすめ3選

マニュアル関連でありがちな課題に沿って、目的別におすすめのマニュアル作成ツールをまとめました。ツール選定で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

社内の問い合わせを
減らしたい
COCOMITE(ココミテ)
問い合わせが減らない
問題を解決するツールは
COCOMITEココミテ

社員に使われるマニュアルで
問い合わせを生まない

あえてフォーマットを固定化し、誰が作っても体裁が揃うことで均一的な見やすさを実現!マニュアルの作り方研修等の豊富なサポートメニューで、利用者に使われるマニュアルができます
ナレッジ投稿を
活発にしたい
トースターチーム
ノウハウが集まってこない
問題を解決するツールは
トースターチーム

自発的なノウハウ共有
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投稿の作成で、投稿者にポイントが加算、ランキング形式で掲載する機能あり!組織への貢献度合いが可視化されることによって投稿意欲があがり、ナレッジ投稿が活性化されます
新人教育の
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